トリノで開幕したグランツール初戦ジロ・デ・イタリア。
ここまでのスペシャライズドライダーの活躍を振り返ってみましょう。
序盤から激闘が続くジロ・デ・イタリア。総合争いについては、今年ジロとツール・ド・フランスのダブル制覇を狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が前評判通りの圧倒的な強さを見せ、既にステージを3勝した上にライバルたちに2分半以上の大差をつけている。
一方で2位以下の戦いは熾烈だ。現在2位につけているのがボーラ・ハンスグローエのリーダーであるダニエル・マルティネス(コロンビア)で、3位にはわずか8秒差で大ベテランのゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が続く。マルティネスから約1分遅れで4位のベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)も不気味な存在である。
ただマルティネスの走りは堅調そのもので、落車などの小さなトラブルはあったものの、総合表彰台に向けた見通しは良好だ。山頂フィニッシュでの2回の登りスプリント対決ではポガチャルにこそ及ばないもののいずれも区間2位でボーナスタイムを奪取、今大会最初の個人タイムトライアルである第7ステージではShiv TTで平坦と登坂のミックスレイアウトをまとめ上げ区間8位と安定している。
懸念事項があるとすれば、山岳でのアシストが期待されていたフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)の離脱だろうか。それでもジョヴァンニ・アレオッティ(イタリア)とマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)がいれば十分に戦えるはずだ。
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スプリントではスーダル・クイックステップのエースであるティム・メルリール(ベルギー)がやってくれた。今大会初のスプリントステージとなった第3ステージ、先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。今季グランツール初のスプリントの舞台、どのチームも並々ならぬ意欲を燃やしていたはずだ。その中で挙げた勝利の、何と鮮やかなことか。
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しかも単純な集団スプリントではなかった。フィニッシュ手前の丘でミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が放ったアタックをきっかけにポガチャルとトーマスという総合エース2人が先行し、スプリンターを抱えるチームは大事なリードアウトトレインを追走に使わざるを得ない状況に追い込まれ、最後は向かい風の中をエーススプリンターが自ら駆ける混沌としたフィナーレとなった。
最終盤でやや位置を下げていたメルリールは先行する選手たちの背後を利用しながら前に出て、目の前に開けたスペースを見つけるや否や大きく加速を切り、最後はハンドルを投げ込んだ。そうして、彼曰く「キャリアで最もハードな展開からの勝利」を、Tarmac SL8と共に掴み取った。「自分の脚とスペシャライズドの速いバイクに自信を持って、ベストを尽くした」というメルリールの言葉通り、強い機材は選手の自信となり、勝利を呼ぶのである。
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今大会が遅いジロデビューとなったジュリアン・アラフィリップ(フランス)は、まさに飢えた狼のように勝利を求めている。チャンスがあれば何度も仕掛け、逃げに乗る。
2度の世界チャンピオンに輝いたアラフィリップが最も勝利に近づいたのは、まさに5年前優勝したストラーデビアンケを模した白い未舗装路を走る第6ステージだった。惜しくも2位。しかし彼の果敢な走りはきっと栄光に繋がっている。ジロがローマにフィニッシュするまでに、両腕を天に突き上げる時が来るはずだ。
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【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
ロードレース観戦と自転車旅を愛するサイクリングライター。名前の通りジュリアン・アラフィリップの大ファン。
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