“北”の地獄 ~北海道エクスペリエンスセンターから函館までの300km~ 【後編】

“北”の地獄 ~北海道エクスペリエンスセンターから函館までの300km~ 【後編】

Roubaix SL8で北広島市から函館までの300kmを1日で走破する「“北”の地獄」レポート、前回までのあらすじ。
雨に悩まされメンバー分裂も有り、絶え間ない挑戦の中で100kmから200kmの壁を越え、今から地獄の始まりとなる。はたしてメンバーは無事完走となったのか。
前編はこちらから

見えてきた完走 

あと100kmをどう走るか

松橋さんの提案のもと、「40km、40km、20kmで区切ってあと2回休憩を取りましょう」と決めた。長万部を出た後も、海岸線沿いをひた走るまっすぐな道。会話も少なくなる中、ご飯を食べたあとで漕ぎながらでも眠気が襲う。もうこの時点で出発して約12時間経過していた。 

すでに疲労困憊ではあったが、200kmを走るとさらに見えてくるRoubaix SL8のスゴさ

Future Shockは路面の穴や凹凸を通過しても、衝撃を和らげてくれる。After Shockはリア周りの暴れを大幅軽減してくれるので、乗り心地が良いのはもちろん、リアタイヤのトラクションが常に感じることができる。「ライダーと路面からの振動を切り離す」というコンセプトはまさにその通りだと改めて実感する。

これがTarmac SL8だったら、もっと路面に気を使うし、手や下半身にも衝撃をもろに受けて体に別の疲労が蓄積していたと思う。もちろん、Tarmac SL8でもチャレンジは可能だが、どのバイクがベストかと言われれば、Roubaix SL8の一択となる。

Tarmac SL8は正真正銘のレーシングバイクで、車で言うF1のようなものだ。それに比べてRoubaix SL8はロングライドでの体力や気を使うところを最小限に抑えてくれる。ラグジュアリーな車を運転しているような安心感と快適性がある。それでいてもちろん、踏んだ時はレーシングバイク譲りの加速感も味わえる。ロングライドや初めてのロードバイクを楽しむならRoubaix SL8だなと改めて感じながら、函館までのコマを進める。 

北海道では雪虫が大量発生していて、日が出て暖かい地点でメンバーを苦しめた。

目視できるほどの雪虫の大群がウェアに当たり、音を立てる。ネックゲーターを鼻まで上げて飲み込まないように注意する。しかし、ヘルメットやウェアには付着し、休憩のたびに体についた雪虫を払う必要があった。この雪虫が意外とライダーを苦しめる。少量なら気にならないが、体に大量に付着すると流石に気になり、ネックゲーターから呼吸する息も少し窮屈となる。 

全員が足の疲労感を感じながら、スピードを少し落とし進む。

足にかかる力が減れば、さすがに半日以上サドルにまたがっているお尻も悲鳴をあげる。姿勢や座る位置を変えながら、前に進み続ける。

240km地点、285km地点でそれぞれ休憩を挟む。休憩と休憩の間は40kmほどの距離だが、スピードも落ちていることと疲労が相待って、なかなか辿りつかない。松橋さんの200kmからが本当に辛いという忠告通り、200kmからの80kmくらいが一番辛かった

疲労で足は回らず、お尻にも負担がかかる、そして判断力も鈍ってくる。200kmで蓄積されたあらゆる疲労がここにきて走りに大きく立ちはだかる。200kmはやったことはあっても300kmは意外とやったことがある人が少ない理由がわかる。とはいえ、1km1km、進み続けて、やっと標識の函館の表示も20kmを切ってきた。 

ついに函館へ

最後のコンビニ休憩を終えて、函館までは約15km。

最後のコンビニ休憩では、夕食に何を食べるかという話で持ちきりに。なかなか夕食場所も決まらないまま300kmライドの最後の補給を済ませて、函館を目指して踏み始めた。 

函館に近づくことで、信号と交通量が多くなるが、メンバーの表情は明るい。目的地の函館にある「金森赤レンガ倉庫」に向かう国道5号線に入ると、浅尾と曽我部が何故かペースをアップさせて残りの3人を置き去りに。最後にもエンターテイメントを忘れないエクスペリエンスセンターのスタッフ2人のおかげで、最後の5kmも快調に進む。 

そして、やっと見えてきた赤レンガ倉庫。時間は午後6時となっていてあたりは暗く、人も少ない周辺だったが、観光地ということもあって、ライトアップされた倉庫が一層輝いて見えた。 

メンバーの表情はやわらかくなり、赤レンガ倉庫にバイクを停めると300kmの過酷なライドは終わりを告げた。

「やっと終わった」というメンバーからの言葉から、300km走り切った達成感はもちろんのこと、真夜中から走りはじめた300kmライドの過酷さが垣間見える。 

メンバーは300kmライド走破を達成しながら、それぞれの目標、勝利も達成した。 

走力レベルもロードバイク経験年数も異なる5人だったが、最後には力を合わせて全員完走できた喜びと達成感を噛み締める。最初は誰か1人はリタイアすると予想された”北”の地獄。ペースを乱す人がいたり、疲労困憊で足が回らなくなったり、2つのグループに分かれてしまったり、様々なドラマがあったが、最後には5人で力を合わせてRoubaix SL8で函館の地を踏むことができた。

祝杯をあげる

ゴール後、ホテルにチェックインして、シャワーを浴びると疲労がさらに押し寄せた。ホテル近くの居酒屋でサッポロクラシックで乾杯をして、函館名物のイカや北海道の美味しい食べ物を味わった。
300kmを走って消耗していることもあって、箸は進みあっという間に完食した。北海道は信号が少なく雄大な景色の中を走れる最高のライド環境もあれば、美味しい食にも恵まれている。これもロングライドやグループライドの楽しみだろう。300kmのご褒美で体を養った。 

今回のMVPは間違いなく、阿部さん。最長走行距離が70kmだったのにも関わらず、300kmを走破したのは大きな「勝利」となった。

ほぼ丸一日時間を共にして、深夜からスタートしているため、実質2日間のように感じさせる超ロングライドは、怪我や大きなトラブルはなく終了した。 

300kmのロングライドと聞くと、クレイジーで過酷な距離だと多くのライダーは思うはず。今回のメンバーもきっと全員での完走は無理だろうと、サポートカーも用意していた。しかし、結果はグループでのチャレンジということが功を奏し、全員函館までたどり着いた。 

グループで300kmを走った後の達成感は実際に挑戦した本人たちしかわからない。辛さの中にも助け合いや諦めない姿勢なども体験することができる。そして、きっと忘れられないライドになることだろう。

なかなか困難なチャレンジだが、ぜひこの”北”の地獄を参考にみなさまにもロングライドを楽しんでもらいたい。レースへの目標とはまた違った、グループで走り切る達成感や充実感を味わえて、ロングライドの楽しさにハマるはずだ。 

コースや距離はもちろんみなさんの体力や走力に合わせて設定をオススメする。 “地獄“と思えるライドも走り切ったら美化されて”天国“のような達成感と優越感に浸れるはずだ。 

今回使用したRoubaix SL8を振り返って 

Roubaix SL8は前述のようにエンデュランスロードバイクということもあって、”北”の地獄に最適なバイクだった。参加したメンバーのRoubaix SL8はS-WorksからSportまでを使用し、カスタムでタイヤやホイールなどを変更も行った。

一概にRoubaix SL8とは言っても、それぞれのグレードやカスタムの良いテストにもなった。メンバーそれぞれのRoubaix SL8がどのように感じたのか、インプレッションやカスタムの最適解などを振り返る。 


◆ 浅尾: Roubaix SL8 Expert (カスタムなし) 

“北”の地獄では、Roubaix SL8 Expertを使用しましたが、乗り心地良く安心感があって、地獄ではありましたが、スムーズに走り切ることができました。Roubaixはフロントギアも軽めのギア(SRAM Rival 46/33T)が付いているので、坂道がきつくても高回転で回して走り切ることができました。スタート直後はウェットコンディションと路面状況が悪かったが、安定して走り切ることができたのはRoubaixのFuture ShockやAfter Shockによる快適性能の高さによる恩恵が大きかったです。 


◆ 曽我部: Roubaix SL8 Comp (ホイール:Roval Rapide CLX II | タイヤ:S-Works Turbo 30C

Roubaix SL8 Compをベースに、ホイールをRapide CLX IIに変更。また、タイヤはS-Works Turboの30Cで挑みました。Compグレードは、価格を抑えた車体ながら105 Di2がコンポーネントとして装備され、車体購入した後にパーツアップグレードすることでさらなる性能を引き出すこともできます。特にホイールは、今回使ったRapide CLX IIにホイールを変えることでブルベや今回の“北”の地獄ような一緒に走るライダーが速い時でも高速巡行が楽になるので、非常にオススメなアップグレードだと思います。また、Roubaix に限らず暗い中で路面に縦に亀裂が入っているような場所でも30Cや32CのワイドなタイヤをRoval Rapide CLX II/ CL IIに装着すれば、安心して走ることができるので参考にしてみてください。Roubaix SL8最高です! 


◆ 板垣: Roubaix Sport 105 (ホイール:Roval C38 | タイヤ:S-Works Mondo 28C

Roubaix SL8 Sportで”北”の地獄に挑戦しました。ホイールはRoval Rapide C38に、タイヤはS-Works Turbo 28Cに変更しました。Future ShockとAfter Shockのおかげで、北海道の荒れた路面も快適に走り切ることができました。走行抵抗低減のために28Cのタイヤをチョイスしたが、北海道のような荒れた路面であれば、もう少し太い30Cやスペックの32Cでも良かったと思いました。Roubaix SL8は本当によく走るバイクでありながら、路面の凹凸や亀裂を気にせず走れて、安心して楽しむことができました。欲しい一台がまた増えてしまいました。 


◆ 松橋: S-Works Roubaix SL8 (カスタムなし) 

“北”の地獄で使用したバイクはS-Works Roubaix SL8です。「S-Works」ということもあって、パーツ変更は行いませんでした。スペック通りのホイールはグラベルにも対応できるホイールながら、*1250gと超軽量なTerra CLX IIに、タイヤはS-Works Mondo 32Cで走りました。次このチャレンジをするとしても、私はS-Works Roubaix SL8を選ぶと思います。もちろんハンドルやタイヤのセッティングは変えるとは思いますが、振動吸収性とエアロがあるので達成が困難な距離のロングライドの正解だと思います。Roubaix SL8は本当に素晴らしいバイクでした!  *チューブレスリムテープとバルブ15gを除く。 


◆ 阿部: Roubaix SL8 Comp(ホイール:Roval Alpinist CLX II | タイヤ:S-Works Mondo 32C

普段はCruxに乗っているのですが、太いタイヤが装着されていることもあって路面からの振動吸収が優れているモデルと理解はしていました。今回Roubaix SL8を乗ってみて、Cruxよりもスピードを出すことができて、「グラベルバイク」ではなくオンロードがメインの「ロードバイク」なんだと実感しました。一方で衝撃吸収もFuture Shockによって路面の嫌なノイズや段差を吸収してくれるので300kmを非常に快適に走ることができました。長距離のライドはもちろん、家の周りの20−30kmのライドでも路面状況に気を使わずに楽しく乗れるバイクかなと思いました。すごく欲しくなってしまいました! 


300kmという距離を通してRoubaix SL8の魅力や性能を実感したメンバーたち。

特に全てのグレードを通して搭載されるハンドルバー下に搭載される20mmのサスペンション、Future Shockは、Roubaixならではの走りを提供してくれた。路面からの衝撃を吸収し、体に伝わる衝撃を大幅に軽減してくれるだけではなく、舗装路がどのような状況にあってもタイヤと路面との接地感を高めてくれる。


夜でも、雨でも、路面が荒れていても、Future Shockがあることで走りに余裕がうまれる。この「余裕」こそがチェレンジングなロングライドを完走する上で非常に重要なファクターとなる。今回、Future Shockによって300km安心してリラックスしたライドができたことは間違いないだろう。 

新しくなったFuture Shock 3.0のここがすごい

また、Roubaix SL8のタイヤを変更することで遊び方は無限大に広がる。

タイヤを28Cに細くすれば、舗装路での軽快な走りが可能となり、ロードホビーレースも楽しめる。逆に最大タイヤ幅の38Cに変更したら、グラベルまで守備範囲になる。1台で多様な遊び方をしたい方や最初のロードバイクに悩まれている方には、Roubaixはおすすめの1台だ。 
Roubaix SL8、色々なタイヤでよりアクティブに乗りこなそう。

スペシャライズドストアの一部店舗では、Roubaix SL8の試乗車も用意している。
Roubaix SL8の走りが気になる方はぜひ店頭で体験してみてほしい。 

試乗車展開店舗 

<北海道エリア>
スペシャライズド 北海道 エクスペリエンスセンター
Roubaix SL8 Expert 49・Roubaix SL8 Comp 52・Roubaix SL8 Comp 54


<東北エリア>
スペシャライズド仙台泉 Roubaix SL8 Comp 52
スペシャライズド 福島  Roubaix SL8 Comp 52 


<関東エリア>
スペシャライズド おおたかの森 Roubaix SL8 Sport 54 
スペシャライズド 新宿
S-Works Roubaix SL8 52 ・Roubaix SL8 Comp 49 


<中部エリア>
スペシャライズド 金沢 Roubaix SL8 Expert 52 


<近畿エリア>
スペシャライズド 江坂
S-Works Roubaix SL8 54 ・ Roubaix SL8 Comp 52 
スペシャライズド 住之江
Roubaix SL8 Comp 54 ・  Roubaix SL8 Sport 49 
スペシャライズド 神戸
Roubaix SL8 Comp – Shimano 105 Di2 52 


<中国・四国エリア>
スペシャライズド 高松  Roubaix SL8 Expert 49 
スペシャライズド 倉敷  Roubaix SL8 Expert 49 


<九州エリア>
スペシャライズド 福岡  Roubaix SL8 Expert 52 
スペシャライズド 熊本  S-Works Roubaix SL8 49 

▼ 前編はこちらから

▼ 挑戦者4名へのインタビュー! こちらから
Roubaix SL8の魅力を各挑戦者の実感とともに確認してください。

今回のルート

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