大雨のブルベ300km完走レポート｜BRM524近畿300km守山

「ロードバイクで新しいこと何かやってみたいけど、何があるんだろう？」そんなふうに感じたことはありませんか？

ロングライドやヒルクライムにある程度慣れてくると、次に何を目指すか迷う時期が必ずやってきます。新しいバイク？レース参戦？それとも一人旅？選択肢はいろいろありますが、もし「体力にも少し自信がついてきた」なら、次の一歩として“ブルベ”を選んでみるのはいかがでしょうか。

ロングライド好きのスペシャライズド住之江スタッフが参加した300kmブルベのレポートをお届けします。

200kmの壁を越えて：300kmへの挑戦

スタッフが初めてブルベに参加したのは2025年2月。距離は200km。ブルベ初参加のレポートはこちら
時間内にはなんとかゴールできたものの制限時間ギリギリの完走。

次回参加するならもう少し速く、そしてもう少し時間と体力に余裕を持って完走したいという気持ちがありました。

そんな中、エントリーしたのが滋賀県の守山市を発着する300kmブルベ BRM524近畿300km守山。

コースはビワイチ(北湖)を基盤に、途中から北へ進路を取り日本海沿岸を走るルート。総距離300km、獲得標高は2100m。300kmブルベの中ではそこまできつくない設定です。

以前にも何度か300km超えのライドをしたことあるので、時間に間に合うかはさておき走ること自体はまぁ大丈夫でしょうとたかを括っていました。

天気予報は「雨」。DNSが多数。

1週間前から天気予報と睨めっこしていましたが、お天気マークはずっと芳しくなくむしろ徐々に悪くなっていました。当日朝のニュースでも「お昼前から本降りになるでしょう」とのこと。

「これ、DNS（出走せず）して滋賀観光してもいいやつだな…」と内心思いつつも、雨用装備も念の為持参していたこともあり腹を括る。

受付場所に行くと、午前7時スタートにエントリーしていた約40名のうちほとんどがDNSとのこと。住之江スタッフを含めても8人しかいませんでした。
他の参加者の皆さんと雨予報なのに走ろうという方がちょっと変だよねという話もしながら7時スタート。
厚い雲が空を覆っていましたが、雨はまだ降っていませんでした。

最初の雨、最初の峠

走り出して約1時間半、35km地点でついに雨が降り出します。予報では12時くらいまではギリギリ天気が持つはずでしたが残念。
小雨ですが確実に濡れ、後半に響くだろうと考えてレインジャケットを装備。以降ゴールまで脱ぐことはありませんでした。

昼前、滋賀から福井へ抜ける峠に差し掛かります。

この栃ノ木峠が一番の登りパート。まっすぐかつ勾配が一定ののぼり坂でヒルクライム苦手勢の住之江スタッフは気が滅入りますが、脚を使いすぎないように注意しながらペースで淡々と登ります。
ここがDNF（途中棄権）のラストチャンスだったかもしれませんが、約130kmここまで走ってきたのにDNFは勿体無い。

妙なテンションに突き動かされ、13時福井県へ突入。

福井の海岸線と、雨粒が顔に刺さる体験

福井県敦賀市の第2PC(チェックポイント)で昼食を取り、海岸線へと進路を取ります。
このころには雨脚がさらに強まり大粒の雨が横殴りで顔に当たってくることも。
天気さえ良ければ絶景の日本海を楽しめるであろうこの区間。今回は雨と風が支配する過酷な時間になりました。

この辺りで鯖寿司やお蕎麦など、福井県の名産品など食べて舌鼓を打ちたかったのですが、濡れ鼠が入店するのは非常に気が引ける。美味しそうなお店や道の駅を見なかったことにして日本海側の海岸線を進みます。

小浜までのアップダウンを乗り越え残りは80km。

思ったよりもいいペースだし、体力的にも気力的にもまだまだいける、ここまで来たらもうゴールは余裕。スペシャライズド住之江のfacebookに投稿しながらそう思っていました。

最大の難所は「向かい風の平坦路」

ところがどっこい、ここからが地獄のはじまりです。
小浜から高島へ抜ける平坦区間に入ると、正面から猛烈な向かい風が吹きつけてきました。
ペダルを踏んでも10km/h以上速度が出ず、脚に力を込めても風に押し戻される。体感では常に勾配15%の登り坂を走っているような感覚。
時々風向きが若干変わるのでハンドル持っていかれることも。突風に煽られホイールが縁石にヒットしかけてヒヤッとする場面も何度かありました。

まさか登りではなくこの平坦区間が一番キツいとは…。

気力を削がれながらもなんとか県境を超え、滋賀県高島市へ。ここまで来れば関西在住として地元感もあり、少し気持ちが落ち着きました。

日没後、暗闇の中を走るラストスパート

19時を回ると完全に日没。2灯体制でのナイトライドに突入です。
この頃になると当日1番の雨量で、まるでバケツをひっくり返したかのような大雨。

知った土地に入ったから実質もうウィニングランだな！と思っていましたが現実はそう甘くありませんでした。

道路には深い水たまりがいくつもあり視認性は最悪。ライトが水面に反射して路面の状態が読みづらく、水たまりにホイールがはまると急に減速するので細心の注意が必要でした。風がそれほど強くなかったのが不幸中の幸い。

ちょこちょこルートミスをしながらも「もうすぐゴールだ」という思いだけでペダルを回し続けます。道中琵琶湖大橋の長さに悪態をつきながら23時37分、ついに完走。
走行時間は16時間37分。前回の200kmよりも圧倒的に余裕を持って完走することができました。そのうち12時間以上は雨に打たれながらのライドでした…

終わってみれば「また出たい」

いい歳した大人がウェアもバイクもビッチャビチャにしながら自転車乗るなんて…とライド中は何度も思いました。しかし結局走り終わった時の達成感が非常に大きく、ライド中の辛い記憶が全てがチャラになります。これがなかなか病みつきです。

誰かと競うレースではなく自分のペースで自分の意志で走り切る。そしてその先にしかない達成感を味わってみてください。

もしあなたが今、新しい何かを探しているなら、ブルベはそのひとつの答えになるかもしれません。

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