スペシャライズド 住之江 のメカニックスタッフが、バイクをいじるだけでなく「きちんとライドすること」を目標に今年から始めたブルベ。今回挑戦したのは600km。
2月に200km、5月には雨の中300km、そして9月には暑さと寝不足にやられながらも400kmを達成。
ここまで来たら600kmを走り切ってSR(同一年内にBRMの200km, 300km, 400km, 600kmを完走したランドヌールはSuper Randonner(シューペル・ランドヌール(仏)/スーパー・ランドナー)と呼ばれます)を取るしかありません。
やると決めたのは自分ですし、そのためにRapide CLX IIIという最新ホイールも導入しました。
9月後半は正直あまり体調がすぐれず、バイクにもほとんど乗れていない——そんな言い訳も抱えつつ、向かうは本州最南端・潮岬。
走り切れば自己最長となる600kmライド。果たして結果はどうなったのでしょうか。
今回のルートは滋賀県・守山をスタートし、松阪〜尾鷲〜熊野と三重県を南下。新宮〜那智勝浦を経て、雄大な太平洋を心の目で眺めながら潮岬へ。
潮岬から紀伊長島までは同じ道を折り返し、南伊勢の自然を満喫。
松坂から伊賀〜甲賀を抜けて守山へ戻る600km、獲得標高約5,000mのコースです。
(Ride With GPSのデータと実際のライドでは標高に差がありました。これはトンネルの中ではなく、トンネル上の山の標高を計測していることが原因のようです。300〜400mもボーナスがつくような差ではありませんが、サイコンに「激坂」と出た登りが実際には存在しないと分かったときの安心感といったらありません。)
実はブルベ前日まで、ほとんど準備ができていませんでした。乗り込み不足も含めて、過去最低のコンディションです。
加えて当日は、滋賀県から三重県、そして和歌山県までコース上どこを見ても2日とも雨予報。ほとんどの行程で結果的に降水量3〜10mmのなかなかの雨具合でした。
普段のロングライド装備に加えて悪天候用アイテムを詰め込み、いそいそと前泊のホテルまで輪行。
「まぁ、なるようになるでしょ」と言い聞かせながら当日を迎えました。
一縷の望みをかけて目覚めてすぐ窓を開けると、予報どおりしっかり雨。
DNS(出走せず)も頭をよぎりましたが、大人しく雨用装備を整えてスタート地点へ。
ブリーフィングと車検を終え、午前6時スタート。
最初のフォトコントロールまで約30km。
1時間も走れば雨の中を走る覚悟も固まり、目も体もバイクの操作も徐々に慣れてきます。
このフォトコントロールで、なんと200kmブルベでも声をかけてくださった方と再会。
話を伺うと「この600kmでSRを取るんです」とのこと。自分よりはるかに速い方でしたが、同じ目標を持つ存在がいるというのは大きな支えになります。
そんなこんなで約100km地点、最初のPCに到着。朝食をとりながら次のPCを確認すると、なんと次は300km地点。
「100km走ったのに次まで200km!?」と一瞬フリーズ。過去のブルベでは30〜50kmごとにPCがあったので、600kmというスケールを思い知らされました。
それでも1日目のゴールは約340km地点の那智勝浦。
呆然としていてもバッテリーは減るだけ。気持ちを切り替えてペダルを回します。
道中では、トンネル通過による“獲得標高盛り案件”に遭遇したり、「この先熊出たらしいから気をつけてね〜」と地域の方に声をかけられたり、ハンガーノックになりかけたり。
それでも14時間走り、ようやく和歌山県入り。
夜20時すぎ、走行距離250km。雨は弱まり、もはや降っていないと言っていいほど。
路面も多少マシになり、水たまりにだけ気をつけていればOK。心にも余裕が出てきました。
那智勝浦で宿にチェックインし、不要な荷物を預けて潮岬へ。
チェックインの安心感から足取りも軽く、23時前、300km地点の潮岬灯台に到着。
暗闇の中で波の音を聞きながらフォトコントロールを済ませ、往路でうっかりスルーしていたPCに立ち寄って夜食と朝食を確保。一路宿へ戻ります。
日付が変わって1時半。雨に打たれ続けた340kmのバイクをできる限り整備し、ウェアを洗濯乾燥。
「5時に出れば完走できそうだな」と目星をつけて、倒れるように床につきました。
惜しむらくは、宿の温泉に入れなかったことと、那智勝浦なのにマグロを食べられなかったこと。
でも、もし満喫していたらDNF(途中リタイア)して特急くろしおに乗っていたかもしれません。
2日目の朝、4時半起床。筋肉痛は想定より軽いが、胃腸が弱っている感覚があります。
固形物があまり喉を通らず、せっかく買い込んだ朝食も半分だけ。胃腸薬とともに5時に出発しました。
今思えば完全にハンガーノック寸前でしたが、「雨の中340km走ったんだからそりゃ疲れてるよね。1時間走れば戻るでしょ」と楽観視。
正常な判断力など残っていません。
1時間走っても改善せず、ようやく「ハンガーノックか?」と気づきます。
「次のコンビニで休憩しよう」と決めたらなかなか出てこない——そんなものです。
ようやく見つけたコンビニでゼリー飲料を2つ流し込み、地図を眺めながら15分ほど休むと体に再び力が戻ってくる。ほっと一安心。
日の出とともに体調が戻るなんて、なんだかエモいですね。
復路の前半は見覚えのある景色を走るため、精神的にも少し楽。
ただし南伊勢に入ると、海岸線特有のアップダウンが地味に堪えます。
熊野〜尾鷲の峠道で足を削られ、再び雨が強まったこともあり、460km地点のPC3ではギリギリのタイム。
多少はペースを上げられそうでしたが、無理をすればまたガス欠になりかねない。
悩んだ末、とりあえず次の500km地点・PC4へ。
「どっちに転んでも失うものはない」と腹をくくって走り出します。
500km地点に向かう途中、同じ参加者を2人抜く。別に速いわけではないけど少し自信が湧きました。
その勢いでPC4到着時にはなんと20分の巻き返し。
さらに、応援の方から差し入れの最中をいただき、これがこの上なく美味しい。そして人と話すことで緊張が少しほぐれました。まさに“補給”とはかくあるべしといったところ。
長話になりすぎないよう程よいところで送り出してくださったのも粋でした。
17時前、想定より30分早く最終PC(530km地点)へ。
補給をしながら残りのプロフィールを確認すると、最後に登りを一つ越えれば、その後はほぼ下り基調。
残り5時間。大きなトラブルがなければ完走は確実です。
そう思うだけで脚に力がみなぎります。
ライトやサイコンのバッテリー残量を気にしつつ、長い長いウィニングランがスタート。
ここから何人かの参加者と抜きつ抜かれつ。
「あと少し!」と声を掛け合い、装備や補給の話に花が咲く。
道中ほぼ単独走行だった分、この時間が本当にうれしかった。
最終的にペースの合った4人で一緒にフィニッシュ。サイコンもライトも、よく最後まで持ってくれました。
39時間34分、道中約400kmの雨に打たれながらも無事完走。圧倒的な達成感と疲労で身体が震えます。
自分のペースで走り続ければ、最終的にはなんとかなるものです。
実際に走ったスタッフは、特別速いわけでも、突出したテクニックがあるわけでもありません。
それでもゴールできたのはただただ諦めずにペダルを回し続けたから。
「何か新しいことにチャレンジしてみようかな」と思った方。
次はあなたの番です。
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