GENIE搭載バイクのセッティング術

  • 公開:2025.06.14
  • 更新:2025.06.14

今回は、2024年以降の新型StumpjumperやTurbo Levo SLシリーズに搭載されている、Specializedの最新サスペンション機構 「GENIE」(ジーニー)についてご紹介しつつ、具体的な調整方法とその狙いについて深掘りしていきます。

サスペンションの調整って、なんとなく感覚でやっていませんか?「ちょっと空気圧下げてみた」とか、「戻りを締めたら良くなった気がする」とか。でも、それだといつまで経ってもどこがどう変化したのかがわかりづらくて、再現性のある調整が難しいんです。

正直、GENIEは「簡単に決まるセッティング」ではありません。
でも、それがむしろ魅力です。自分で調整しながらハマったときの乗り味が見つかると、手放せなくなるはずです。
しなやかさと剛性感を両立できる独自の構造は、他のサスペンションにはない走りの感覚を与えてくれます。

GENIEとは?その仕組みは?

セッティングの説明をする前にまずGINIEの仕組みについてご紹介いたします。

「GENIE」は、スペシャライズドが開発した二段階構造のエアスプリングです。
これまでの単一構造のエアショックとは違い、2つのエアチャンバー(内側と外側)を独立させた構造を持っていて、走行中にその切り替えが自動で起きるという非常にユニークなものです。

この仕組みのカギを握るのが、「GENIEバンド」と呼ばれる可動パーツです。
ショックがストロークの約70%までは、エアチャンバー全体の容量を使ってしなやかに動きます。
しかし、トラベルが残り30%に差し掛かると、GENIEバンドが「GENIEエアポート」をふさぎ、空気の通り道が内側だけに限定されます。
その結果、エアボリュームが小さくなり、スプリングの反発力がグッと立ち上がる仕組みです。

つまり…

  • トラベル前半はエアチャンバーが大きく、コイルショックのような反応
  • トラベル後半になると、エアチャンバーが絞られ、急激に硬くなりボトムアウトを防ぐ

という、コイルショックとエアショックの良いとこ取りというまるで魔法のような変化を実現しているのがGENIEです。

これによって小刻みな振動にはしなやかに追従し、深いギャップでは奥で支える安定感があるという、理想的な足回りが得られます。

GENIE搭載バイク一覧

2025年時点でGENIEが採用されているのは、以下のモデルです

Stumpjumper 15 シリーズ

軽量なカーボンフレームに、GENIEを搭載。スムーズな登坂性能と安定した下りの走破性を両立したオールラウンドなトレイルバイクです。

Turbo Levo SL(第2世代)シリーズ

軽量電動アシストバイクの代表格。GENIEによって、モーターの力強さにしなやかな足回りが加わり、荒れた路面でも自然なコントロールが可能になります。

セッティングの基本:GENIEの“切り替わり”を使いこなす

GENIEをうまく使いこなすためには、空気圧とスペーサーの調整がポイントです。
GENIEバンドの“切り替わるタイミング”を意識することで、自分の乗り方や好みに合った動きを作ることができます。

① サグの調整

用途サグの目安特徴
トレイル全般25〜30%軽快でバランスの良い動き
下り・ジャンプ系30〜35%グリップ感・安定性が高まる

不安ならまずは28〜30%あたりから試して、実際の走行フィーリングに合わせて微調整するのがオススメです!

GENIEは初期ストロークの反応が良いため、多少深めに取っても底付き感が出にくく、スムーズな走りが期待できます。

② スペーサーによるエアチャンバーのボリューム調整

エアチャンバーのボリュームを調整することで、より細かいセッティングが可能です。
その調整に使うのがスペーサーです。スペーサーの追加や組み合わせによって、サスペンションの動き方が変化します。

外側のエアチャンバーに装着するのが赤いスペーサーです。これは、ミッドストロークのスプリング特性に影響し、「沈み込みやすさ」と「立ち上がりの強さ」のバランスを調整する役割があります。最大で4個まで装着可能で、追加するほどしっかりした踏み味になります。

内側のエアチャンバー用は黄色と青のスペーサーです。こちらはストローク終盤、いわゆる「ボトム付近」での反発力に関わります。これらを組み合わせることで、ボトムアウトへの耐性を強化することができます。

🧩 組み合わせ例とその特徴

組み合わせ効果・特徴
🔵1個(最小)とてもリニア。スムーズでよく動く。ハードな着地では底付きしやすい。
🟡1個やや踏ん張りが増す。軽めのトレイルにちょうどいい。
🟡1個 + 🔵1個標準的な組み合わせ。踏ん張りと動きやすさのバランスが良い。
🟡2個やや硬めの設定。ハードなライディングや高速域で安定感あり。
🟡2個 + 🔵1個(最大)かなりボトム耐性が強い。ジャンプやドロップが多いコース向き。

③ GENIEバンドの切り替わり位置を狙う

空気圧を変えると、GENIEバンドの動く位置=スプリングの性質が変わるタイミングも変化します。調整の際はどのくらいの力で性質が変わるかを見極めることが大事です。

➕ 空気圧を上げると…

  • → GENIEバンドが早い段階で作動
  • → 後半の立ち上がりが早くなり、踏ん張りのある乗り味に

➖ 空気圧を下げると…

  • → GENIEバンドの動作が遅くなり、より長くしなやかな動きが続く
  • → 後半までスムーズに動きやすくなるが、ボトムアウトしやすくなる場合も

④ ダンパーとの組み合わせも忘れずに

  • 圧側(踏み込み)調整
     → 初期ストロークが動きやすいため、やや締めておくとペダル時に安定感が出ます。
  • 戻り側の調整
     → 跳ね返りが早すぎると不安定になるので、少しゆっくりめがオススメです。

セッティング例

用途サグ目安スペーサー数空気圧目安(70kg)圧側減衰戻り側減衰
トレイル全般28%1個約190psiやや締めやや遅め
ジャンプ・バーム系25%2個約200〜205psi強めやや速め
ロングライド系30〜32%0〜1個約180psi開放〜弱め中間

よくある質問(FAQ)

Q. スペーサーってどこで手に入るの?

→ 当店をはじめ、スペシャライズド正規取扱店で販売しています。モデルによって形状が異なるので、購入前にご相談ください。

Q. ライド中にモードの切り替えはできるの?

→ できません。GENIEは完全に物理的な構造で動作しているため、スイッチなどで変更はできません。

Q. コイルショックとどっちがいいの?

→ 初期の反応や乗り心地はコイルに似ていますが、GENIEは空気圧やスペーサーで自由に調整できるため、「柔らかさ」と「調整幅」のバランスに優れています。


GENIEは、ただの新技術ではなく、「自分だけの乗り味を作り込む楽しさ」を教えてくれる存在です。
「もっと足回りを使いこなしたい!」という方は、ぜひスペシャライズド宇都宮までご相談ください。

自分の走り方に合ったセッティングを一緒に探しましょう!


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