新型Rovalホイール徹底解説

  • 公開:2025.07.5
  • 更新:2025.07.5

「速さ」は単純な数字の話ではありません。空力、剛性、重量、回転質量、安定性、そしてライダーとの一体感。これらがすべてかみ合ったとき、本当の速さは姿を現します。
今回新しくなったするRoval Rapide CLX Sprint / CLX III / CL IIIは、そのすべてを再構築し、世界最速の称号をかけて生まれたホイールたちです。

フロントリムハイトが高い理由

空気抵抗の約90%は、ライダーとバイク全体の前端形状に起因すると言われています。中でも、最初に風を受ける「フロントホイール」は、空力設計の要です。

Roval Rapideシリーズの全モデルに共通する特徴として、フロントリムの方がリアよりも高いという設計があります。これは「フロントで空気を切る」ことの重要性に基づいています。

たとえばRapide CLX IIIでは、フロント51mm / リア48mmというリムハイトを採用。これは、フロント側で空気の流れを整流し、セイル効果(横風による推進力)を最大限に引き出すためです。

一方、リアホイールはペダリングによる乱気流の渦中に常にさらされているため、そもそも整った空気の流れが存在しにくく、フロントほどの空力的恩恵は得られません。加えて、リアホイールは回転運動の慣性にも直結するため、軽量化のメリットが非常に大きく、あえてリムハイトを抑え、軽さと加速応答性を重視する設計が最適とされています。

つまりこの非対称なリム高設計は、空力が効く場所には高いリムを、効きにくい場所には軽さをという、空力と運動力学を突き詰めたRovalの明確な意図が反映されたものなのです。

Rapide CLX Sprint:スプリントで勝つための純粋な武器

Rapide sprint CLX
¥484,000(税込)

2024年パリオリンピックのタイムトライアルで金メダルを獲得したレムコ・エヴェネプール。そのバイクのフロントに装着されていたのが、Rapide CLX Sprintです。

もし、ゴールスプリントだけを想定しそこに全振りするなら?
Rapide CLX Sprintは、その問いに真っ向から応えたプロダクトです。フロント63mm / リア58mmという極端な設計は、空力と加速の絶妙なバランスを突き詰めた結果。

世界最速のスプリンター、レムコ・エヴェネプールがオリンピックTTで選んだことからも、その信頼性の高さは明らかです。250mスプリントでCLX IIより18cm先行するという結果が示すように、わずかな差で勝敗が決まる局面で、最大のアドバンテージを提供します。

こちらは尖った設計のため万人向けではありませんが、平坦ステージや高速スプリントに特化したホイールを求めるライダーには最強の武器となるでしょう。

主なスペック

項目フロントリア
リムハイト63mm58mm
外幅(最大部)35mm34.4mm
内幅21mm21mm
ビードフック幅4.3mm4.2mm
重量(バルブ・テープ込)640g755g
セット重量1395g(バルブ・テープ込)
設計タイヤRapidAir TLR、28mm
ハブRoval Low Flange ロードハブ、センターロック
・フロント:12x100mm
・リア:12x142mm
スポークArris社製 Roval コンポジットエアロスポーク、チタン製ヘッド

Rapide CLX III:万能型オールラウンドホイールの頂点

Rapide CLX III
¥484,000(税込)

Rapide CLX IIIは、CLX IIからの正常進化にして、軽さ・空力・耐久性・コントロール性能のバランスを高次元で成立させた、実戦向け最速ホイールセット。

重量は1,305gと、CLX II比で215gの軽量化を実現しながら、エアロ性能はそのまま維持。レース後半の脚が削れた状況でも、バイクの挙動を信頼して踏み切れる完成度です。

Sprintとの違いは、空力よりもバランスを重視した設計。風の入力をよりマイルドに処理するようなリム形状と、Rapide IIの知見を受け継いだ横風安定性の高さが特徴です。ステアリングが急な風に煽られてもコントロールしやすく、ライダーの反応時間(0.5~2秒)を考慮した風洞解析とヨー角シミュレーションを徹底的に行って開発されています。

特筆すべきは、タイヤとリムの一体開発によるシステムとしての空力最適化。28cのRapidAirとのペアリングで最高のパフォーマンスを発揮し、リム幅とタイヤ幅の関係性まで数千通りにわたるCFDとCTスキャン解析を行った開発背景には、スペシャライズド本社の圧倒的開発環境があります。

「すべての場面で速く、どんな状況でも戦える」。CLX IIIは、プロレースからロングライドまで、最速と信頼性の両立を本気で求めるライダーにこそ手にしてほしいホイールです。

主なスペック

項目フロントリア
リムハイト51mm48mm
外幅(最大部)35mm31.3mm
内幅21mm21mm
ビードフック幅5.5mm4.1mm
重量(バルブ・テープ込)600g705g
セット重量1305g(バルブ・テープ込)
設計タイヤRapidAir TLR、28mm
ハブRoval Low Flange ロードハブ、センターロック
・フロント:12x100mm
・リア:12x142mm
スポークArris社製 Roval コンポジットエアロスポーク、チタン製ヘッド

Rapide CL III:手に届くクラス最速を

Rapide CL III
¥242,000(税込)

価格と性能のバランスを突き詰めたのがRapide CL III。基本的なリム形状や空力設計はCLX IIIを継承しつつ、構成パーツを見直すことでコストを抑えています。

スポークにはDT Swiss Competition Race(ステンレス)を採用。ハブもDT Swiss 350をベースに36Tスターラチェットを搭載し、実用性とメンテナンス性に優れます。耐久性や回転性能を確保しつつ、重量は1,555gとこのクラスでは極めて健闘しています。

エントリーからミドルクラスのロードバイクをアップグレードしたい方にとって、最適な選択肢です。

主なスペック

項目フロントリア
リムハイト51mm48mm
外幅(最大部)35mm31.3mm
内幅21mm21mm
ビードフック幅5.5mm4.1mm
重量(バルブ・テープ込)716g839g
セット重量1555g(バルブ・テープ込)
設計タイヤRapidAir TLR、28mm
ハブDT Swiss 350 ストレートプル(センターロック)
・フロント:12x100mm
・リア:12x142mm
スポークDT Swiss コンペティションレース(ストレートプル)

Rovalが実現した「空力 × 耐久性」の革新技術

Rapideシリーズに共通しているのが、「空力性能を最優先しつつ、現実的な耐久性と信頼性を同時に確保する」というコンセプトです。

その鍵となるのが、FlatStopビードフック設計です。幅広のフック形状と大径ビードカーブを持ち、パンク時にもタイヤのビードがリムから外れにくい構造を実現。衝撃試験では従来比39%の耐衝撃向上を達成。UCI基準をはるかに超える独自テストも実施しており、70ジュールの衝撃にも耐える設計です。

また、タイヤとの最適な接合性を得るために、CTスキャン+CFD解析(数値流体力学)を活用。
RapidAir 28mmとの組み合わせが、空力・転がり抵抗ともに最も優れると実証されています。

結論:「高いフロントに低いリア」は最速の新定義

空力という科学と、レースという実戦。両方で結果を出したRapideシリーズは、「前が高く、後ろが低い」というこれまでにないホイール設計でロードホイールの概念を変えました。

  • Rapide CLX Sprintは、ゴール前で勝つための武器。スプリントで勝つならこれ一択。
  • Rapide CLX IIIは、レースのあらゆる局面に対応できる万能ホイール。軽さと速さの極致。
  • Rapide CL IIIは、高性能をより身近に体感できる実力派。アップグレードに最適。

もし今、あなたのホイールのリムハイトが「前後同じ」あるいは「リアが高い」なら、一度立ち止まって考えてみてください。その常識、もしかすると速度を犠牲にしているかもしれません。


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