初代 Aethos が発表されたときから、やたらと「ロードバイクの真髄」や「ライドの本質」、「純粋なロードライド」だとかそんな言葉が散見されるようになった気がする。
いったいどれだけの人が“本質”なんてものを感じながら走っているのだろう。捻くれ者の視点からだと何となく良い感じの言葉を飾り立てただけに思えて仕方なかった。
試乗車でライドした時、確かに Aethos は良いバイクだと思った。
軽くてハンドリングが良い。コーナーでは少し切れ込みすぎる感があるけど、ギリギリの絶妙なバランスで成り立っている。しかし、Tarmac (当時はSL7) のような爆発的な加速でもないし、Roubaix ような振動吸収性があるわけでもない。いいバイクだとは思ったが、そこに“本質”を感じたかと言われると首を捻らざるを得なかった。
…とまぁ、言葉を色々と並べているが「これこそが!」と他の人に説明できる”何か”を見つけきれなかったというのが、お恥ずかしながら正直なところ。
それから約5年、ご存じのとおり Aethos がモデルチェンジ。

スタッフも少しは大人になり(…なったはず)もう一度 Aethos と向かい合うべくS-Works Aethos 2 を手にした。
自分のバイクとして乗り込んでいくうちにまだ依然として曖昧模糊としているが、確かに本質らしきものに指がかかった感覚があった。
Aethos 2 の何がそう感じさせたのか紐解いていく。なお自分の中の整理も兼ねているので乱筆ご容赦願いたい。
Contents
最近の高性能なロードバイクは、乗っているとバイクから急かされているように感じる。
「もっと綺麗なペダリングをしろ」「もっとエアロなフォームを取れ」「もっと踏め」
圧倒的なフレームそしてホイールの剛性に応えられる脚があるうちは速い。それはレースマシンだから。でも、一般ライダーがその美味しいところをどれだけキープできるのかというと頭の上に疑問符が浮かぶ。
良いバイク = レースマシン
そんな価値観が主流になってしまった昨今、バイク側の要求を最後まで満たせる人間の方が少ないのではないか。

一方で Aethos 2 は全く違う。
こちらから踏み込まない限りハイエンドバイクの“鋭さ”は見せてこない。ゆっくり走ろうとすれば驚くほど自然に寄り添ってくれる。逆に踏み込んだ瞬間に、湖面が一気に波立つようなキレある表情を見せるのも面白い。
超軽量バイクらしい軽快で良好なレスポンスの一方で、スチールフレームのようなどっしりとした路面追従性も兼ね備える。
まるで走るシーンごと異なるバイクに乗り換えたかのように表情を変えるのに、ライド全体には一貫性がある。
この変幻自在さはあくまでライドの主役はバイクではなくライダーだと、そんな風に言っている気がするのだ。

Aethos 2 は一見華奢に見えるが確かにハイエンドバイクらしい剛性感がある。一方でフレーム全体がしなるから“生っぽさ”がある。
この不思議さは、ペダリングのスイートスポットが異様に広いことが大きいのだと思う。
回してもいい、踏んでもいい、なんだったら雑に踏んでもいい。とにかくどんな入力も自然に前へ進む力へと変換してくれる。
これは初代 Aethos の時からあった感覚ではあるが、Aethos 2 になってより強化されたそんな印象が強い。
一般ライダーにとっても決して剛性過多ではなく、バイクとライダーとの間に特殊なギミックがないからこそ、ライドをしていて引っ掛かる場所がない。
シッティングでもダンシングでもペダリングを続けているうちにバイクとの境目が溶けてなくなるような感覚。“ゾーン”と呼ぶべき感覚があるとしたらそれに近いのだろう。
ライド中に一息つこうとサイコンを覗き込むといつも驚いてしまう。気づけば獲得標高も距離も勝手に増えているのだ。
商品ページに「エンデュランス」の文字があるが、あれはあくまでジオメトリーの話。
快適性や振動吸収性能でいえば Roubaix SL8 以上ではない。ただ、Roubaix SL8 とは違う形で“余裕”を与えてくれる。

例えば速度の出る下り坂。路面の凹凸に対してFuture Shock を備える Roubaix SL8 のように突っ込めるわけではない。ただ Aethos 2はライダーに選択肢を提示してくれる。「避けるべきか、行くべきか」を考えられる余裕がある。
例えばコーナー。高い路面追従性も相まって Aethos 2 はどこまでならバイクを倒していいか、侵入速度は間違っていないかなどの情報を逐一伝えてくれる。
そういった点でもバイクが持っているスイートスポットが大きいし、許容できるウィンドウはもっと広い。
バイクの中心がどこなのかを教えてくれて、どう乗ったら安定して効率がいいのかを教えてくれる感じがする。下りでも上りでも。もちろん平地でも。
それでいて押し付けてこないし、こちらのスタイルを叶えるために助力もしてくれる。
その結果、バイクに乗るのがが上手くなったように感じる。変な言い方かもしれないが“示唆的なバイク”という表現がしっくりくる。
気づけば距離が伸びている、そういう意味では確かにエンデュランスバイクなのかもしれない。

もちろん絶対的な速さなら Tarmac SL8・快適性なら Roubaix SL8 。
どれも自分のバイクとして乗ったので、これの評価は揺るぎない。
でも Aethos 2でしか得られない充足感がある。
ライダーを主役にして上手に下支えし、ときどき背中をプッシュしてくれる。
いきたい場所が増える。走りたい理由が生まれる。チャレンジする気にさせる。もっと上手くなりたくなる。
軽さ・安定感・キレ。Aethos 2 の絶妙なバランスが、ライドする度に自然と自信を積み上げてくれる。
“できることが広がっていく”感覚をずっと与えてくれる。これこそが Aethos 2 のもつ不思議な魅力、そして数あるライドの本質の一つなのではないだろうか。
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