スペシャライズド住之江のメカニックスタッフが、バイクをいじるだけでなくきちんとライドすることを目標に今年から始めたブルベ。
2月に200km、5月に300kmと順調に距離を伸ばしてきました。
…とはいえイベントではなくとも200kmや300kmのライドは過去に行った経験があるので不安はそれほどなかったのです。
ただし一息で400kmを走るとなると話は別。過去最長は340km(しかも10年以上前)。
今回はオーバーナイトで走ること、自分で引いたルートではなく主催者の設定した道を走ることなど、これまでとはまるで違う条件。
未知の領域に突入する――「一番きつい」と噂される400kmブルベ、果たしてどうなったのでしょうか。タイトルでバレていますがしっかり完走しました。
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今回のスタートは河内長野。紀見峠を抜けて吉野〜宇陀と奈良南部を通り、三重へ。
名張〜松坂〜鈴鹿を経て鈴鹿山脈を越え滋賀入り。
琵琶湖の南湖を横目に南下し、和束〜木津川の山間を抜け奈良市へ。法隆寺をかすめて河内長野に戻る全長400km、獲得標高3700mのコースでした。
大小問わずイベント前はいつもそうなのですが前夜はあまり眠れず、輪行準備の緊張で昼寝もできないまま本調子ではない状態でスタート。
日中はまだまだ暑さが残っていましたが、ブリーフィング開始の18時30分には日が沈み、気温もそこそこ。周囲は明かりも少なくしっかり暗い走り出し。
スタートしてから目が慣れるまでの1〜2時間は、知っているはずの紀見峠〜橋本の道がまるで別の景色に見えて戸惑いました。
しかし満月と好天のおかげで、目が暗さに慣れてからはむしろ走りやすくなりました。
夜間走行には昼間とは違う緊張感があります。
事前に配布されていたロードブックに注意書きがあった通り野生動物パラダイスでした。鹿と衝突しそうになったのが2回、たぬきを引きそうになったのも2回。
霧がかった丑三つ時の山道を悠然と横切る鹿は幻想的ですらありましたが、ライド中に飛び出てこられると心臓に悪いことこの上ありません。
たぬきは可愛いのですがライトに驚いて固まってしまいこちらをじっと見つめて動かないし、眠気覚ましどころか心底ヒヤッとしました。
路面にも落ち枝や砂利が散乱し下りはガレている箇所も多い。こちらも万全でない中のライド、昼間以上に気を使い神経をすり減らします。
疲労するのは神経だけではありませんでした。
サイコンとにらめっこしながらちゃんと計画的に補給していたつもりでしたが、徐々に身体の反応が鈍っていくのを感じました。
200km地点のPC(Point de Controle 中間チェックポイント)で朝ごはんにと買ったお蕎麦が喉を通らず、引っかかって飲み込むのにも一苦労。
睡眠不足に加え夜が明けて緊張感が緩んだ影響もあったのでしょう。しかしこのまま食べられないのは致命的。
こんなこともあろうかと持参していた胃薬と一緒に流し込みなんとか復活。以降は消化吸収の良いものを中心に補給することに。
奈良から三重までの夜間は気温20度前後で、スピードの出る緩やかな下り区間など少し肌寒いほどでしたが、日が昇ると一転しました。
鈴鹿山脈を越えて滋賀に入る8時頃にはすでに30度越え。日差しを遮るものもなく体感はさらにきついものに。
距離・睡眠不足・内臓ダメージ・暑さの“クアドラプルパンチ”でフラフラ。PCの場所を勘違いしたり、サイコンに表示されているのにルートミスをしたりと、平常運転でないのは明らかでした。
ビワイチ経験者はご存知でしょうが、琵琶湖大橋から瀬田方面への道は交通量が多く道幅も狭いです。
集中力を保てないまま走るのは危険と判断し280km地点、ここで仮眠。
ライト類の充電だけは忘れずにできたのは、わずかに残っていた理性のおかげですね。
30分程度でしたが仮眠から起きると体力も集中力もかなり回復しました。
回復に喜び勇んでペダルを回すとサイコンにはライド距離300kmの文字が。残り距離が3桁から2桁になるだけで気分は大きく変わります。
…とはいえ100kmは決して短くないです。体力は底を尽きかけているのに、ペダルを回さなければ距離は減らない現実に打ちのめされる。
救いだったのは、滋賀から宇治川方面へのルートを学生時代に友人と走っていたこと。当時の思い出と知っている道というだけで、多少気持ちに余裕が生まれました。
残り50kmを切ると、体力と残り時間を天秤にかけても完走の目処が立ちました。
よほどのミスがなければゴールできる――その安堵感からか、押さえ込んでいた眠気や胃腸の不調が一気にぶり返します…
さらに夕陽が生駒山の向こうに沈んでいくのを見て気持ちは重たくなります。普段なら少し感傷的になるだけですが、この日ばかりはそうはいきませんでした。
しかし法隆寺・大城橋(潜水橋)・馬見丘陵・穴虫峠と馴染みのある場所を一つずつ越えるたび、ゴールが近づいている実感が湧いてきます。
穴虫峠を越えて大阪に入ればもう勝ったも同然。河内長野までは歓喜のウィニングランでした。
フラフラではありましたが、最終的に25時間45分で400kmを完走しました。
ゴールした時の達成感で道中の大変だった記憶は全て清算されます。これがたまりません。
最大の反省は睡眠不足。日常の寝不足とサイクリング中の寝不足では影響がまるで違います。諸先輩方が「しっかり前夜に寝ろ、そして仮眠を取れ」と繰り返す理由を身をもって理解しました。
また、持参した補給ジェルがどれも似た味で飽きてしまったことや、エナジードリンクを飲むタイミングなど改善点と学びが多いブルベでした。
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