こんにちは、スペシャライズド熊本の平井です。
最近、メンテナンスやオーバーホールのご依頼が増えています。日頃からメンテナンスの気持ちがあるのは、非常にいいことです。
そんな中でご自身でタイヤやチェーン、ブレーキ周りなど所謂〝消耗品〟のセルフチェックは出来ていますか。
タイヤのひび割れ、チェーンやスプロケットの錆など目に見える部分はチェックしやすいのですが、現在多くの自転車で使用されている油圧ブレーキのオイルやパッド、ローターなど普段目視では難しい箇所も増えております。
現在、すっかり主流となった油圧ディスクブレーキ。軽い力でもしっかりと制動でき、安定したブレーキ性能を発揮してくれる非常に優れたシステムです。
そんな油圧ディスクブレーキですが、
「ブレーキパッドは交換したことがあるけど、それ以外は特に何もしていない」
という方も意外と多いのではないでしょうか?
実は油圧ディスクブレーキには、パッド以外にも定期的に点検・メンテナンスしておきたい部分があります。
今回は、
① ブレーキオイル
② ブレーキホース
③ ブレーキパッド
④ ブレーキローター
⑤ ブレーキキャリパー
この5つに分けて、それぞれの交換時期やメンテナンスの目安をご紹介します!
Contents
まずは、ブレーキオイル(ブレーキフルード)。
油圧ディスクブレーキは、レバーを握った力をオイルによってキャリパーへ伝えています。
普段は外から見えない部分なので忘れられがちですが、ブレーキを正常に作動させるための重要な部分です。
ここで知っておきたいのが、
すべての油圧ブレーキが同じメンテナンス基準ではない
ということ。
例えば、
SHIMANO
専用ミネラルオイルを使用。著しい変色など、オイルの状態を確認して交換。
SRAM(DOTフルード採用モデル)
最低でも1年に1回のブリーディングを推奨。
SRAM(ミネラルオイル採用モデル)
2年に1回のブリーディングを推奨。
Campagnolo
指定のミネラルオイルを使用し、メーカー指定の手順に従ってブリーディング・メンテナンスを行います。明確な年数の指定は無いのですが、1年に1回ほどが好ましいかと思われます。
このようにメーカーやブレーキシステムによって考え方が異なります。

そのため、
「油圧ブレーキは○年に1回交換すれば大丈夫!」
と一括りにはできません。
・以前よりレバーの引きしろが大きくなった
・ブレーキタッチがフワフワする
・以前とブレーキの感触が違う
・長期間ブレーキオイルを交換していない
・いつ交換したのか分からない
こんな場合は、一度点検してみるのがおすすめです。
特に中古車を購入した場合など、過去のメンテナンス履歴が分からないバイクは、一度確認しておくと安心です。
続いては、ブレーキホース。
ブレーキレバーからキャリパーまでオイルを送り、油圧を伝えている重要なパーツです。
ブレーキパッドのように頻繁に交換するパーツではありませんが、
「ずっと交換しなくても大丈夫」
というわけではありません。
ブレーキホースについては、一律に「○年で交換」と考えるより、実際の状態を確認することが重要です。
例えば、
・表面に傷や亀裂がある
・ホースが潰れている
・折れたような跡がある
・接続部分からオイルがにじんでいる
・転倒などでホースに強い力が加わった
こんな場合は要チェックです。
また最近のロードバイクでは、ブレーキホースがハンドルやステム、フレーム内部を通るフル内装タイプも増えています。
外から見える部分が少ないため、オーバーホールやハンドル交換などでホースへアクセスするタイミングに、一緒に状態を確認するのがおすすめです。
油圧ディスクブレーキの中で、一番分かりやすい消耗品が、ブレーキパッドです。
ブレーキをかけるたびにパッドがローターを挟み込むため、少しずつ摩耗していきます。


ブレーキパッドの寿命は、走る場所や乗り方によって大きく変わります。
例えば、
・長い下りが多い
・雨の日にも走る
・グラベルやMTBで泥の中を走る
・体重や車体重量が大きい
・E-BIKEに乗っている
・ブレーキを頻繁に使用する
といった条件では、パッドの摩耗が早くなることがあります。
そのため、
「○km走ったから交換」ではなく、実際の残量を確認することが大切です。
例えばSHIMANOでは、パッド材が0.5mm以下になった場合は使用しないよう指定されています。
SRAMやCampagnoloについても、それぞれパッドの使用限界が設定されています。各メーカーの交換時期は下記になります。
■ SHIMANO
パッド材の厚みが0.5mm以下になった場合は使用しない。
■ SRAM
バッキングプレートとパッド材を合わせた厚みが3mm以下になったら交換。
■ Campagnolo
パッドに設けられた摩耗インジケーター(Wear Indicator)で確認。インジケーターが見えなくなった場合は交換。
メーカーによって「摩擦材の厚み」「パッド全体の厚み」「摩耗インジケーター」と確認方法そのものが異なります。そのため、使用しているブレーキメーカーの基準に合わせて確認することが大切です。

もちろん、
「使用限界ギリギリまで使う」
のがおすすめという意味ではありません。
安全に使用するためにも、余裕を持った交換がおすすめです。
また、厚みが十分に残っていても、オイルなどが付着してパッドが汚染されると、本来の制動力を発揮できなくなることがあります。
その場合も交換が必要になる場合があります。
ブレーキパッドは交換したことがあっても、
「ブレーキローターは一度も交換したことがない」
という方も多いかもしれません。
ですが、ブレーキローターも消耗品です!
ブレーキングのたびにパッドと接触しているため、ローターも少しずつ削れて薄くなっていきます。
代表的なメーカーでは、一例として、
SHIMANO:1.5mm
SRAM:1.55mm
Campagnolo:1.65mm
など、ローターの使用限界が設定されています。
※製品によって異なる場合があります。

問題は、ローターの摩耗は見ただけでは分かりにくいということ。
0.1mm単位の摩耗を目視だけで判断するのは難しいため、実際には厚みを測定して確認します。
おすすめなのが、ブレーキパッドを交換するときに、ローターも一緒に確認すること。
パッドだけ新品にしても、ローターが大きく摩耗していてはブレーキシステム全体を良い状態に保つことはできません。
また、
・ローター表面に大きな段差がある
・ローターが変形している
・クラックが入っている
・ブレーキング時に強い振動が出る
といった場合も点検が必要です。
最後は、ブレーキキャリパーの清掃・メンテナンス。
ブレーキキャリパーはパッドやローターのように定期的に交換する消耗品ではありませんが、走行するほど少しずつ汚れが蓄積していきます。
特にディスクブレーキでは、パッドとローターが擦れることで発生するブレーキダストに加え、
・砂
・泥
・ホコリ
など路面から巻き上げた汚れがキャリパー本体やパッド周辺に付着します。

そのまま汚れを蓄積させるのではなく、定期的にキャリパー周辺をきれいにしておくこともブレーキメンテナンスのひとつです。
普段はブレーキパッドが装着されているため、キャリパー内部までしっかり清掃する機会はそれほど多くありません。
そこでおすすめなのが、
ブレーキパッド交換と同時にキャリパーも清掃すること。
パッドを取り外したタイミングで、
キャリパー本体に溜まったブレーキダストや汚れを落とし、内部の状態も確認します。
新品のパッドを取り付けるだけでなく、周辺もきれいな状態にしておくことで、ブレーキ全体の状態を確認する良い機会にもなります。
キャリパーを清掃するときに、もうひとつ確認しておきたいのが、ピストン周辺です。
ブレーキパッドが摩耗すると、それに合わせてキャリパーのピストンも徐々に突出していきます。

そのためパッド交換時には、突出したピストンを戻して新品パッドを取り付けます。
このとき、
汚れた状態のピストンをそのまま押し戻さず、ピストンとその周辺の汚れを落としてから作業する
ことが大切です。
通常のキャリパー清掃だけでなく、
・片側のパッドだけ減りが早い
・パッドとローターが擦れ続ける
・左右のピストンの出方が大きく違う
・ピストンの戻りが悪い
・新品パッドを入れてもローターとのクリアランスが狭い
といった症状がある場合は、ピストンの動きも確認します。
汚れなどによってピストンの動きが悪くなっている場合もあるため、必要に応じて適切なメンテナンスを行います。
キャリパー清掃についても、「○km走ったら必ず清掃」というものではありません。
雨天走行やグラベル、MTBなどでは汚れやすくなるため、使用環境に合わせて清掃することが大切です。
そして、
ブレーキパッド交換時には、パッドだけでなくキャリパー本体・ピストン周辺まで一緒に確認する。
これをひとつのメンテナンスタイミングとして考えると分かりやすいでしょう。
こうして見てみると、油圧ディスクブレーキには意外と多くのメンテナンスポイントがあります。
① ブレーキオイル
② ブレーキホース
③ ブレーキパッド
④ ブレーキローター
⑤ キャリパー・ピストン
そして、それぞれ交換・メンテナンスの判断方法が違います。
パッドやローターなら摩耗量。
ホースなら傷や劣化。
オイルならメーカー指定や状態。
キャリパーなら汚れやピストンの動き。
つまり、
「何年乗ったから交換」だけでは判断できないのが油圧ディスクブレーキです。
■「購入してから一度もブレーキオイルを交換していない」
■「パッドは交換したけど、ローターは確認したことがない」
■「最近ブレーキのタッチが変わった気がする」
■「ブレーキから擦れる音がする」
■「いつメンテナンスしたか覚えていない」
ひとつでも当てはまる場合は、一度ブレーキの状態を確認してみてもいいかもしれません。
普段のメンテナンスでは確認しにくい部分までチェックできるのが、
オーバーホールのタイミングです。
スペシャライズド熊本では、
ブレーキオイルの交換・ブリーディング、ブレーキホースの点検、ブレーキパッド交換、ローターの摩耗測定、キャリパー・ピストン周辺の洗浄・点検
など、油圧ディスクブレーキのメンテナンスも承っております。
ブレーキは、
「止まるため」の大切なパーツ。
タイヤやチェーンのように分かりやすく消耗する部分だけでなく、普段は見えないところも少しずつ状態が変化しています。
油圧ディスクブレーキは、見た目やブレーキの効きだけでは消耗や劣化に気づきにくい部分も多くあります。
だからこそ大切なのが、不具合が出てからではなく、定期的に点検して現在の状態を把握しておくこと。
パッドやローターの摩耗、オイルやホース、キャリパーの状態まで確認することで、必要なメンテナンスを適切なタイミングで行うことができます。
「まだ効いているから大丈夫」ではなく、良い状態のうちに点検する。
安全にライドを楽しむためにも、ぜひ定期的なブレーキ点検を心がけてみてください!
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