あなたの愛車は、定期的にメンテナンスを受けてらっしゃいますか?
普段の乗り方や保管方法によって異なりますが、購入して2年以上経過した自転車は見た目は綺麗でも、サビが進行していたりパーツが消耗していたり、そもそもパーツが無くなっていたり正しく動作していなかったり、自分が思っている以上に状態が悪化していることがあります。
寒くてあまり自転車に乗らない冬の時期に、春のサイクリングシーズンに向けて愛車を徹底的にメンテナンスしましょう。
今回お預かりさせていただいたロードバイクは、納車から5年以上経過したSpecialized Tarmac SL5になります。本格的なメンテナンスは初めてとのことでしたので、メンテナンスメニューの中からフルオーバーホールをオススメさせていただきました。
フルオーバーホールは可能な限りパーツを取り外してから各作業をし、指定のパーツを交換しながら組み立てをおこないます。まさに徹底的なメンテナンスといえます。
お預かり時の状態
パっと見は綺麗ですが、よく見ると汚れや傷んでいるパーツがちらほら見受けられます。

ブラケットカバーが汚れて加水分解で少しベトついています。バーテープもよく握る箇所が摩耗しグリップしづらくなっています。

フロントディレイラー、チェーン、チェーンリングなどに油汚れがこびりついています。よく見ると、1カ所チェーンリングボルトがなくなっていました。変速不良やトラブルの原因になります。

リアディレイラー、カセットスプロケットも同様に油汚れがこびりついています。

フロントブレーキローターが摩耗して使用限界が近づいていました。

リアブレーキローターも使用限界が近づいていました。

では実際にフルオーバーホールをすすめていきます。
(いくつか写真を撮り損ねた作業があり、文章のみとなりますがご容赦ください)
Contents
世界中のメカニック御用達の工具や自転車専用工具を使用し、適材適所でケミカルを使い分けます。(写真はごく一部になります)

フルオーバーホールは可能な限りパーツを取外します。
普段お手入れが難しいクランクとフロントディレイラー付近は特に汚れています。

ボトルゲージ台座付近も汚れています。

傷をチェックし終えたら、しっかり洗浄してスプレーワックスでフレームを保護します。

普段お手入れしないヘッドパーツは、汚れやサビの温床になっている事が多いパーツです。

グリスに砂埃が付着し非常に汚れていました。

フロントフォークを取外し、ベアリング受けを洗浄します。


ベアリングを含めたヘッドパーツを洗浄します。

ヘッドベアリングをグリスアップして組み付けました。
クランクを取り外した状態です。
BB30規格のボトムブラケットはベアリングが剥き出しになっていて、定期的なグリスアップを怠ると錆が発生します。

クランクシャフトもベアリングのもらい錆が付着し汚れています。

ベアリングの錆が進行していましたので、今回は新しいベアリングをご用意させていただきました。
元のスチールベアリングより回転が軽くなるセラミックベアリングを所望されました。

ベアリング圧入前に、BBシェルを洗浄します。

ベアリング圧入に使用するPark Tool製の工具です。

BBシェルに防水グリスを塗り、慎重にベアリングを圧入しました。

リアホイールのフリーボディーをばらした状態です。グリスが乳化し黒く汚れています。
ホイールブランドによってハブの構造は様々ですが、総じてグリスが劣化すると回転が渋くなり、回転時の音が大きくなります。

パーツを洗浄します。今回はスターラチェットEXPに似た構造でしたが、カップ&コーンやその他のハブもお任せください。

フリーボディーを取り外した状態のハブです。こちらも汚れています。

こちらも洗浄しました。
外からは見えませんが、内部のベアリングに回転時の違和感や錆がないので、そのまま使用します。(ホイールは購入されて1年未満とのことでした)

専用グリスを塗り組み立てました。
カセットスプロケットも洗浄して取り付けます。

前後共タイヤ・チューブを取り外して、ホイールの縦振れと横振れをとります。
今回は大丈夫でしたが、縦横振れが大きいと走行に悪影響を及ぼします。

ブレーキレバーとブレーキキャリパーにオイル漏れ等がないこと、ブレーキホースに傷や折れ曲がり等がないことを確認し、ブレーキキャリパーの外観とピストンを洗浄します。
何年もオイル交換していないと劣化してこのような色になります。ひどい場合は汚れが混入して黒くなっています。

専用工具と純正ミネラルオイルを使用します。

オイル注入直後は、古いオイルが混ざってしまうため何度か注入を繰り返します。綺麗なオイルに入れ替わったら、ブレーキシステム内のエアーをしっかり抜いていきます。

フルオーバーホールにはシフトワイヤーの交換が標準で含まれています。

インナーワイヤーのコーティングが傷んでいます。このままご使用を続けると変速がだんだん重くなり、終いにデュアルコントロールレバー内でインナーワイヤーが切れてしまいます。ロングライド中やレース中に起こると致命的ですので、こまめなチェックが必要です。

その他のパーツも洗浄し、金属パーツには組立前に簡易コーティングをおこないました。


ブラケットカバーとバーテープを新品に交換させていただきました。個人的な意見ですが、ハンドル周りが綺麗だと自転車の高級感が増します。

1カ所脱落して無くなっていたチェーンリングボルトも取り付けました。

リアディレイラーのプーリー等、外せるパーツは極力取り外して洗浄しました。チェーンは洗浄して再利用しました。

前後共新しいブレーキローターに交換させていただきました。アルテグラからデュラエースにグレードアップしてくださったので、見た目の高級感はもちろん、放熱性が上がりブレーキの効きが安定します。


今回ご紹介させていただいたフルオーバーホールの他にも様々なメンテナンスメニューをご用意しております。
お客様のご要望をお聞きし自転車の状態を確認させていただいてから、適切なメンテナスをご提案いたします。
作業前に見積のご提示と納期をお伝えさせていただきますので安心してご相談ください。
お問合せお待ちいたしております。
| サービス内容 | 推奨時期 |
| バイクチェック | 定期点検または自転車に異常を感じたら |
| ドライブトレインクリーニング(バイクウォッシュ) | 雨天走行後またはチェーンが汚れてきたら |
| ベーシックメンテナンス | 6か月毎 |
| セミオーバーホール | 1年毎 |
| フルオーバーホール | 2年以上経過したら |