こんにちは、スペシャライズド熊本の平井です。
最近のロードバイクを見ていると、以前と比べて明らかにタイヤが太くなりました。少し前まではロードバイクと言えば「23c」、その後「25c」が主流となり、さらに「28c」へ。そして現在では、「700×30c」を標準装備するロードバイクも珍しくなくなっています。
先日ご紹介したCOTTON FOLDING RACING ONLY TIREにも30cが追加されるなど、タイヤのワイド化は現在のロードバイクにおける大きな流れのひとつです。
では、なぜロードバイクのタイヤはここまで太くなったのでしょうか?
そしてもうひとつ気になるのが、「30cが主流なら、とりあえず30cを選んでおけばいいの?」
というところ。
今回はタイヤがワイド化してきた背景と、日本の道路事情も踏まえながら、ロードバイクのタイヤサイズについて考えてみたいと思います。
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ロードバイク歴が長い方であれば、「タイヤは細く、空気圧は高いほうが速い」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
私がロードバイクに乗り始めた2010年前後も23cが一般的で、かなり高めの空気圧で走ることも珍しくありませんでした。
確かに、非常に滑らかな路面だけを考えれば高圧にするメリットはあります。しかし、実際に私たちが走る道路は完全な平面ではありません。細かなひび割れや段差、舗装の継ぎ目、マンホールなど、大小さまざまな凹凸があります。
タイヤの空気圧が高すぎると、そうした凹凸を通過するたびにタイヤや車体、そしてライダー自身が上下に跳ねるような動きをしてしまいます。
そこで注目されるようになったのが、「適度に太いタイヤを、適正な低い空気圧で使う」という考え方です。
タイヤを太くすると空気量(エアボリューム)を確保できるため、細いタイヤよりも低い空気圧で使用できます。
すると路面の細かな凹凸に対してタイヤそのものが変形して追従してくれるようになります。イメージとしては、路面の凹凸をタイヤが吸収しながら進んでくれるという感じです。

これによって荒れた舗装路では車体やライダーが跳ねにくくなり、結果としてスピードを維持しやすくなります。
さらに乗り心地だけではなく、タイヤが路面を捉えやすくなることで、コーナリングやブレーキング時の安心感にもつながります。
つまり現在のロードタイヤは、「細くして硬く転がす」から「路面に合わせて効率よく転がす」へ。考え方が変わってきています。
タイヤだけが進化したわけではありません。
近年のロードホイールはリムの内幅もワイド化しています。
タイヤとリムの組み合わせによって実際のタイヤ幅は変化するため、同じ「28c」と書かれたタイヤでも、取り付けるホイールによって実測幅が異なることがあります。
そのため最近のロードホイールでは、28cや30cといったワイドタイヤを使用した状態で、タイヤの形状や空力性能などが最適になるよう設計されたモデルも増えています。

さらにフレーム側のタイヤクリアランスも拡大しています。現在のロードバイクは、タイヤ・ホイール・フレームを含めてワイドタイヤを活かせるよう進化しているということですね。
こうした流れの中で、現在ひとつの基準になっているのが700×30cです。
28cよりもエアボリュームを確保しやすく、乗り心地やグリップ性能を高めながら、ロードバイクらしい軽快な走行感も残しやすい。
速さ・快適性・重量・空力性能などを総合的に考えた結果、30cというサイズが非常にバランスの良いところにあるというわけです。
実際、現在ではレーシングロードでも30cを標準装備するモデルが登場しています。「太いタイヤ=エンデュランスロード」という時代ではなくなってきました。
ここからが今回一番お伝えしたいところです。
世界的に30cが主流になっているからといって、すべてのライダーに30cが正解とは限りません。特に考えたいのが、普段どんな道路を走っているかです。日本の道路は比較的舗装状態が良いと言われますが、実際にロードバイクで走ってみると…
舗装の継ぎ目や補修跡、ひび割れ、マンホール、側溝付近の段差など、細かな凹凸はたくさんあります。さらに郊外へ出ると、交通量の少ない道路では舗装が荒れているところもあります。
こうした道路を長時間走るのであれば、タイヤのエアボリュームは大きなメリットになります。
レースや高速域での走行を重視するのであれば、28c~30cが現在でも非常にバランスの良い選択だと思います。
きれいな舗装路を中心に走るのであれば28c。多少荒れた路面も含めて幅広く走るのであれば30c。軽快感を残しながら、現在のワイドリムのメリットも活かしやすいサイズです。
特に30cはレースから普段のサイクリングまで対応しやすく、「迷ったらまず30c」と言えるほど万能なサイズになってきました。

一方で、レースではなくロングライドや休日のサイクリングが中心という方には、30c~32cもおすすめです。
個人的には、日本の一般道を走るロードバイクでは32cもかなり魅力的なサイズだと思っています。30cから32cへサイズアップすると、さらにエアボリュームを確保できるため空気圧を下げやすくなります。
その結果、
・荒れた舗装路での快適性
・長時間走行での疲労軽減
・コーナリング時の安心感
・下りでの安定感
などが期待できます。
ロードバイクというと「少しでも細いタイヤを」と考えてしまいがちですが、レースを目的としないのであれば32cという選択肢は決して大きすぎるとは思いません。
むしろ日本の一般道を快適に長く走ることを考えると、30c~32cあたりが非常に使いやすいサイズではないでしょうか。

ここは気になる方も多いと思います。
確かに23cから32cを見れば、かなり太く感じます。しかし実際に乗ってみると、適正な空気圧に調整された32cは想像以上に軽快です。タイヤ重量などによる違いはありますが、「太くしたから走りが重くなる」と単純には言い切れません。
むしろ路面が荒れているほど、タイヤが凹凸を吸収してくれることで一定の速度を維持しやすくなる場合があります。何より100km、150kmと距離が伸びてきたときの身体への負担は無視できません。
数ワットの差だけではなく、ライド後半まで身体を疲れさせず、しっかり走れることも「速さ」のひとつだと思います。
私たちスペシャライズド熊本のお客様を見ても、ロードバイクの使い方はさまざまです。
熊本市内を中心に走る方もいれば、阿蘇方面へロングライドに行かれる方、天草方面まで距離を伸ばされる方もいらっしゃいます。
幹線道路の比較的きれいな舗装だけではなく、山間部の荒れた舗装や細かな段差を通ることもあります。
そう考えると、熊本を含めた日本の一般道でロードバイクを楽しむなら、30cを基本に、快適性を重視するなら32cという選び方はかなりおすすめです。
特に、「レースには出ないけどロードバイクらしい速さは欲しい」という方なら、32cを一度試してみる価値はあると思います。
そして、タイヤを太くしたらぜひ見直していただきたいのが空気圧です。
せっかく30cや32cへ交換しても、23cや25cと同じ感覚で高い空気圧を入れてしまうと、ワイドタイヤのメリットを十分に活かせません。適正空気圧は、
ライダーの体重、バイク重量、タイヤサイズ、実際のタイヤ幅、リム内幅、チューブド・チューブレス、路面状況
などによって変わります。「30cなら○○psi」と一律に決めるのではなく、使用する機材やライダーに合わせて調整することが大切です。空気圧を少し変えるだけでも、ロードバイクの乗り味は驚くほど変化します。
10年以上前なら、ロードバイクに30cや32cのタイヤを取り付けるという発想自体がほとんどありませんでした。
しかしタイヤ、ホイール、フレームが進化した現在では、30cはロードバイクの新しいスタンダード。そして用途によっては、32cも非常に有力な選択肢になっています。実際に現行のスペシャライズドのロードラインナップではTarmacであっても32cまで対応しますし、他のロードバイクはそれ以上クリアランスを設けています
Tarmac/Aethos → 32mm
Allez → 35mm
Aethos 2 → 35mm
Roubaix SL8 → 40mm
個人的なおすすめの目安をまとめると、
レース・スピード重視 → 28c~30c
オールラウンド → 30c~32c
ロングライド・快適性重視 → 32c~35c
といったところでしょうか。
もちろん、太ければ太いほど良いというわけではありません。使用するホイールとの相性やフレームのタイヤクリアランス、ライダーの体重、走る場所によってベストなサイズは変わります。
大切なのは、「何cが一番速いか」ではなく、「自分が走る道では何cが一番気持ちよく走れるか」。
タイヤはロードバイクの中で唯一、常に路面と接しているパーツです。タイヤサイズや空気圧を見直すだけでも、いつものロードバイクが驚くほど快適に、そして速く感じられるかもしれません。
「自分のバイクなら何cがおすすめ?」「30cから32cにしてみたいけど取り付けられる?」など、タイヤ選びでお悩みの方はぜひスタッフまでご相談ください。
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